【壮観・大高森】空と海の共演、松島の壮大なパノラマを一望せよ【四大観】

おとなの遠足

『松島四大観Plus〜これぞ松島!超絶オススメな眺望スポット』(1/5回)

【松島四大観Plus:#01 壮観・大高森-編】古くからある「眺望してこその松島」という声と景色を、宮城ゆかりの文人、島崎藤村は「松島の美は天の美と水の美なり」と残し、その変化こそを、見ての松島と表現する。そんな見晴らし絶景を儒学者の舟山萬年は、松島四大観(雄観・麗観・幽観・偉観)にまとめたという。ならば遠足気分でと、壮観・大高森(東松島市宮戸)に足を運んでみましたよ。さぁ、眺望スポットを旅のプランにつけ加え、あなたもフルスイングで松島を満喫してはみませんか?

海黄金を溶かすとき

日本三景随一の眺望を大高森で楽しんで旅を100%満喫してみよう

故郷を目に焼きつけるため、あの郷土の詩人が選んだ山

土井晩翠の詩碑

日本三景随一と称される松島。なぜに随一と称されたかといえば、古典を紐どいていくとなんとなく見えてくる。多くの先人たちが記すのは「眺望してこその松島」ということ。そして、自然の織りなす造形美と変化をおして随一とするふしがある。

その眺望を郷土の詩人、土井晩翠は、日本をはなれ異国の地に旅立つとき、壮観・大高森に足をはこび故郷の宮城の地を目に焼きつける。そして、一編の詩をのこしている。その詩が、さきほどの詩碑のもの。あなたにも、土井晩翠の自然に対する畏敬の念が浮かびませんか。

というわけで、松島の旅をゆで卵に例えると、瑞巌寺に五大堂、円通院に、遊覧船、そして、牡蠣に穴子の観光グルメのスポットは、その外をなす白身のようなもの。松島の本質を「一眸する」と、とらまえるならば、眺望をして黄身も食さねば100%満喫のぺろり旅とは行きますまい。

そんな眺望を、 江戸から明治にかけての儒学者、舟山萬年は、100回くらい松島に足を運びつつ『鹽松勝譜』*1を編纂。「松島四大観(壮観・麗観・幽観・偉観)」と呼ばれる眺望スポットを世に知らしめ、現代に至る。今回は、その中の壮観・大高森について見ていきましょう。

大高森を、なぜ壮観というのだろうか?

こちらは観光桟橋付近の入口

ところで松島四大観は、どれが一番ということではない。あくまでも、それぞれの眺望をその特徴であらわしたスポット。そのことは、

富山ハ麗ヲ以テ勝ル、扇渓ハ幽ヲ以テス、大高森ハ壮ナリ、多聞山ハ偉ナリ、四處對崎シテ松島ノ観全シ

『松島案内』著・岡濯 松島四大観 より

ということばからも見て取れる。ただ、「麗・幽・壮・偉」で松島の景観を網羅するってことでしょうから、四大観すべてまわれってこと?いやいや、先人も無茶を云う。

そして、あなたがこれから足を運ぼうとしている大高森ですが、なぜ壮観と呼ばれるのでしょうか?

それは、三丈的表現でいうと、ズバリ!壮大なパノラマを目に焼き付けろ!といったところ。空の広さと海の広さ、そこに広がり点在する島々と、松島湾を背にして石巻と牡鹿半島、金華山をも含めた太平洋の広さを含めたぐるりと見わたす大パノラマを楽しみましょうということ。

七ヶ浜から野蒜海岸までの夕暮れ、色の変化に富む空と海

ということで、ここからは、三丈のお散歩写真で、あなたにもちょっとでも行ってみたいなと思ってもらえると喜ばしかと〜。

松島四大観・壮観(大高森)’Sフォト

バッチリ青空には、午前中がやはりベスト
展望台には四阿(あずまや)もあってゆっくり休める
陰影がくっきりするとカチョコイイ
振り返れば航空自衛隊松島基地!

松島湾を背に、石巻方面に目をやると航空自衛隊の松島基地がバッチリ。そう、云わずとしれた、ぼくたちのブルーインパルスのホームベース! といっても上の画像は600mm相当の望遠レンズで撮影。肉眼に近いのはこっち↓↓↓

反対側は野蒜海岸から石巻まで(手前の山の右端付近から対岸に松島基地、、、わかるかい!)
みんな大好き三角点

左は小雨の日、まったく表情が異なる。

大高森の雷神塔

大高森の雷神塔

碑の年号は、明治二十九年。

古事記的に雷神さまといえば、建御雷神(タテミカヅチ)。当地においてタテミカヅチといえば、鹽竈神社の左宮に祀られている武甕槌神(タテミカヅチ)。

武甕槌神といえば、鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)の地震で暴れる大きなナマズを抑える「要石」。当地においては、鹽竈神社が勧請した加美町の鹿島神社にも要石が奉納されている。

したがってこの雷神塔のキーワードは地震かと。

ひるがえって、明治二十九年は、明治三陸地震とその海嘯があった年。ただ、地震の発生は6月15日。こちらの石碑は旧二月八日との日付(3月21日)。明治の海嘯とは関係はないのでしょう。

いずれにせよ大高森の頂きで、是非にも手を合わせ、あなたにも大鯰を抑える手助けをしていただきたい。

山頂の松もかっこいい

先人たちがみた松島・土井晩翠-編

土井晩翠も波黄金のなか大高森の頂きに

(前略)
起ちて、落つる日雲染めて
波黄金を溶す時 大高森の頂に。       
頂高く今も見る 眞なるもの美なるもの
おほいなるもの常に新、     
左太平洋の波 散るは奔馬の狂か、
右や一灣 松島の
波静さながら夢の如。
(後略)

『東海游子吟』 土井晩翠 松島 より

詩集『東海游子吟』 (土井晩翠)の「松島」という作品からの引用になる(上で見た詩碑)。 留学で異国への旅が目の前にせまったとき、故郷の景色を目に焼きつけるべく、大高森に頂きに足をはこんだ土井晩翠。

ときは、海黄金がきらめく、そんな夕暮れどき。上空から水面まで刻一刻とさまがわりしていく光と影。水面をみやれば、外洋は荒々しく海黄金を波がとかして煌めき、内湾は湖の鏡面のごとく焼けた空と雲を映しこむ。油断をしていると次から次へと新しい顔をのぞかせる松島。ここにあるのは、一眸のもと、上下左右で異なる大いなる世界。

そんな自然の姿に、抱くこころは畏敬の念。三丈にはそのように感じる詩なのですが・・。あなたにも、晩翠のそんな心もちが浮かびて見えてはいませんか。

自然への畏怖か畏敬か、松島湾を照らす「天使のはしご」

アクセス情報ほか

色が飛んでいるところは太陽・・

周辺地図

壮観・大高森データ

所在地宮城県東松島市宮戸大高森
標高105.2m
車①三陸自動車道 成瀬奥松島ICよりおよそ10km*1
車②松島海岸駅より奥松島パークライン/県道27号 経由でおよそ15km*1
おすすめ度*2★★★★★
難易度*2★★★★★

*1 グーグルマップのルートにて計測
*2 おすすめ度・難易度ともに四大観のなかで、三丈の独断と偏見による評価

ワンポイントアドバイス

整備はされているけど、オシャレ靴はアウト!

四大観のなかでは、もっとも歩きます。そして、その実、プチ登山。間違ってもヒールのあるようなおしゃれ靴では向かわないように。

また、途中で「スズメバチ注意」の張り紙もありますが、三丈も山頂で見かけました。たとえ見かけたとしても、慌てず、威嚇せず、冷静に。

なお、嵯峨景遊覧船案内所のある駐車場は、17時には閉鎖されます。夕日を狙うときは、第3駐車場を利用したほうがおそらく幸せかと。

まとめと撮影の日のよもやま話・・

まずは、左の画像をみてもらおう。奥の雲も厚いし、だいぶあたりも暗くなり、さすがにもう終了かと下山を開始。雲の多い日は困りものだけど、光輪、光背に、天使のはしごと、面白い変化があるので、それもまた楽しい撮影などと思いながら、暗いしゆっくり下山。

途中、二組のカップルとすれ違うも、内心「もう少し早く来たほうが良かったかもよ〜、暗いし気をつけるんだよ〜」と思っておりました。

がっ!、木々の隙間から、右のような夕焼けが・・。頂上にもどるのは時間がないしで、慌てて駆けるように下山。そして、撮ったのが次の画像。

大高森入口の遊覧船桟橋にて

それなりに印象深い画像になったかなと。と、思いながら、我にかえる、これを頂上で撮るためにでかけたんと違うん?と。ねぇねぇ、三丈さん、どんな気分!慌てて下山して走る気分!撮ろうとおもった画像が頂上じゃなくて麓って(笑)

いやはや、グヌヌヌ、gnn‥

ということで、まとめとしては、、三丈的には、土井晩翠が立ったであろう夕暮れどきの大高森はとても好き。夕暮れどきの1時間前くらいから、徐々に変わりゆく空と海の景色は、ホントに飽きのない光景だなと思います。ただ、青々とした空のもと写真を撮ったりと考えるのならば、スカッと晴れやかかな午前中に出張るのが吉かと。太陽を背にして、島々を見ないと空と海と松の青さを真に楽しむことは叶いますまい。

ということで、#01壮観・大高森編はこれにておしまい。#02は、麗観・富山編になります。よろしければ、再びのおつきあいいただけると幸いです。

出不精な三丈が云うのもなんですが、たまにはあなたも遠出をして、お散歩なんかしてみませんか。

シリーズ『松島四大観Plus〜これぞ松島!超絶オススメな眺望スポット』(全5回)

#01[壮観・大高森]空と海の共演、松島の壮大なパノラマを一望せよ←今回はココ
#02[麗観・富山]明治天皇・文人らも登りし美しき松島を一望せよ
#03[幽観・扇谷]松島の深山幽谷の趣を、扇にみたて一望せよ
#04[偉観・多聞山]外海の荒々しさ、白波と松島を一望せよ
#05[エクステンド]時間が足りない!?まだある松島を楽しむ眺望は・・

*1『鹽松勝譜』
宮城県内の多くの図書館が所蔵している『仙台叢書 』の别集第四卷にて閲覧可能。読み下すのは大変かもしれませんが、チャレンジしてみよう!